『おさがりセックスフレンドAnother3』furuike

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同名の商業誌のスピンオフ。一癖も二癖もあって、振れ幅の広い表情や挙動を一人のキャラクターのなかに破綻なく同居させ、それを限られたコマの中で見せつける変幻自在のキャラクターデザインは商業誌業界でもトップクラスの作家であるスミヤさんのプロの技が光る。本作ヒロインのマコトは「クールな体育会系だけどエッチはよわよわ」という、原作やAnother１，２と比べると挙動を想像しやすいキャラクターではある。それでも、クールながらに饒舌な語りから性へのスイッチを一瞬で入れてくる妖艶さや、最後の表情カットは「来ると分かっていてもドキッとさせられる」スミヤさんのプロの画力が光るところ。本作の一番の見所は、時に兄のおさがりセフレを受け入れる立場にちょっと反発してみたり、逆にアドバイスを受けたりしながら性の経験値を高めに高めてきた航二郎が、兄譲りの卓越した性技を存分にマコトに見せつける、「オトナの余裕」かもしれない。Another1、2やサエ編で見せた一瞬の激しさが無いので、本作は物語的なダイナミズムにおいて他の作品にやや劣後する。しかし、下元航二郎という「穏やかで理性的な、典型的巻き込まれキャラながら、優しいヤリチンこと兄貴・航一郎との良好な関係と、兄譲りの性豪っぷりで数奇な運命を受け入れていく青年」の完成系が本作かもしれない。そこにAnother1や2のような物語としての激しさはもうなくとも、最高のセックスが灯り続ける。本作は「日常系アニメのラストの一個前くらいのエピソード」として良いものがある。穏やかな気持ちで読める良作だった。キャラデザが優秀なので顔を見てピンと来た人は単作で読んでもきっと楽しめるが、きっといつかは原作やAnother1を手に取ることになるに違いない。